スタッフ笹森です。建退協掛金納付の電子申請が令和2年10月から試行的に始まることから、建退共の制度についてまとめてみました。
建設業退職金共済制度とは
建設業で働く人達のために国によって設立された退職金制度です。建設業を営む事業主が、対象となる雇用者の共済手帳に、働いた日数に応じて掛金となる共済証紙を貼り、その雇用者が建設業で働くことをやめた場合などに、退職金が支払われます。
契約できる事業主
建設業を営むすべての事業者が、共済契約者となることができます。
総合・専門・元請・下請の別を問わず、専業でも兼業でも、また建設業許可の有無にかかわらず加入できます。
対象となる労働者
建設業の現場で働く人たちのほとんどすべての人が建退共の対象者になることができます。国籍、職種、月給制か日給制かにかかわらず被共済者となることができます。
ただし、事業主、役員報酬を受けているもの、事務専用の社員などは対象となりません。
また、中小企業退職金共済(中退共)などほかの退職金制度との重複の加入はできませんが、建退共に加入することとなった際には、これまでの制度で納められた掛金を引き継ぎ、加入することができます。
共済契約者証
建退共に加入した事業主には共済契約者証が交付されます。共済契約者証は、金融機関から「共済証紙」を購入するときに必要となります。
共済契約者証の記載事項(住所、名称、代表者)に変更があった際には、変更届の届出が必要となります。
証紙
共済証紙には1日券(310円)と10日券(3,100円)があります。共済証紙は、公共工事、民間工事を問わず、現場で働く人を雇ったときは、対象労働者数と当該労働者の就労日数を把握し、それに応じた額を随時購入します。
事業主は、共済証紙について、購入した枚数、下請けに交付した枚数、元請から交付された枚数と共済手帳に添付した枚数が分かるように「共済証紙受払簿」を作成しましょう。
※労働者に掛金の負担はありません。
※公共工事では元請けから証紙の支給、添付を受けることができます。
手帳の交付
事業主が、新たに建退共制度の対象となる労働者を雇用した場合は、労働者の了解を得て、機構に申請し手帳の交付を受けます。
新たに雇用した労働者が、既に共済手帳を持っている場合は、その手帳に継続して証紙を添付します。
1冊目の手帳には、事業主の負担軽減のため、国の補助により50日分の掛金助成欄があります。就労日5日毎に1日の割合で掛金免除となっています。
事業主は、労働者に賃金を払う都度、その労働者が働いた日数分の証紙を手帳に貼って消印をします。掛金助成欄にあたる日は消印のみとなります。
200日分の証紙を貼り、掛金助成欄50日分の消印を終えたときには、2冊目の手帳の交付を受けます。
事業主は「共済手帳受払簿」に手帳の受払い状況を記入し、雇用する労働者数や共済手帳の更新状況などを常時適正に管理、把握するようにしましょう。
退職金をもらうには
建設業で働くなった場合、事業主になった場合などに、労働者が退職金を請求すると、それまでに手帳に貼られた証紙の枚数を通算し、国の定めた基準に基づいて労働者に直接退職金が支払われます。
ただし、退職金をもらうためには、手帳に証紙が24か月分以上貼ってあることが必要です。
電子申請方式の導入
建退共の掛金納付について、現在の「証紙添付」に加え「電子申請」が追加されます。令和2年10月~令和3年3月の半年間、試行的に実施され、令和3年3月末までに全面的、本格的な実施が予定されています。
※建設キャリアアップシステムとの連携も予定されています。
経営事項審査において、建退共に加入し履行している場合は加点評価となります。建設業許可・経営事項審査申請・入札参加資格申請についてのご相談は、行政書士法人ブリジアスまでお気軽にご連絡ください。