スタッフ笹森です。
近年、建設業界の人材確保は大きな課題となっています。こうした背景から、国家資格である「技術検定試験」の制度が改正され、特に若年層にとって受検しやすい形に大きく変わりました。
この制度改正が建設業界にどのような変化をもたらしているのか、また、これから資格取得を目指す方々にとってどのようなチャンスが生まれているのかを見ていきましょう。
1. 制度改正の目的:受験者数の回復と技術者確保
受験要件の大幅な緩和
技術検定は、建設現場で重要な役割を果たす主任技術者・監理技術者になるために必要な資格です。
これまで、この試験を受けるには「学歴」や「実務経験」が必須でしたが、2024年度の1級第1次検定では、これらの受検要件が基本的に廃止されました。
これにより、実務経験が少ない20代前半の若手技術者も早期に挑戦できるようになり、一時減少していた受検者数は増加に転じています。
受験者数・合格者数の傾向
受検要件緩和の効果は数字にも表れています。
建通新聞の報道によると、以下の通りです。
● 最終合格者数: 直近2024年度の1級技術検定の全7種目の最終合格者は、合計で4年
ぶりに3万人を超えました。
● 受検者数: 2024年度の1級第1次検定では全種目で前年度を大きく上回り、1級
土木で約55.5%増、1級建築で約56.4%増と大幅に増加しました。
2. 若年層に広がるチャンスと
「合格率の低下」という課題
受検者数は増えましたが、興味深いデータも出ています。
若年層の合格率が低下傾向
受検資格がなかった実務経験のない若年層が増加した影響か、合格率には以下のような変化が見られます。建通新聞の報道に基づくと、2024年度の第1次検定の合格率は
● 25歳未満の層で 54.2% から41.4%へ
● 25~29歳の層で 55.5% から50.2%へ
と低下しています。これは、これまで受検できなかった層が増え、試験対策の経験がない受検者が増えたためと考えられます。
合格率データから見る傾向
合格率が低下したとはいえ、公表されているデータを見ると、30代以上と比較して20代の合格率は引き続き高い水準にある傾向が見られます。
これは、一般的にキャリアの初期段階にある20代は、仕事や家庭(育児など)の責任が増加しがちな30代以上と比べて、試験勉強のための時間を確保しやすい傾向にあることが一因と考えられます。
3. 資格取得が描き出す新しいキャリアパス
技術検定の制度改正は、建設業界のキャリア形成に新しい道を開きます。
新時代のキャリアパス
1. 早期に資格取得:
若い技術者が早い段階で第1次検定に合格し、「施工管理技士補」の資格を取得。
2. 現場で実務経験:
資格を活かしつつ、現場で実務経験を積み重ねる。
3. 技術者としての研鑽:
実務経験を積んだ後、第2次検定に挑戦し、主任技術者・監理技術者への道を開く。
この新しい制度は、若い技術者が早期に資格を取得し、それを追い風にして現場で活躍しながらステップアップしていくという、理想的なキャリア形成を後押しします。
行政書士法人ブリジアスでは、この技術検定合格が建設業許可や経営事項審査にどのように影響するか、詳しいご相談も承っております。お気軽にお問い合わせください。

