国交省は、建設業の一人親方対策を強化するため、「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」を改正する予定です。(3/3まで意見募集、4/1施行予定)
社会保険料削減のために一人親方化が進んでいるという実態があり、令和2年度に対応策の方向性が打ち出されました。このガイドラインには、適正な社会保険への加入について建設会社が負う役割と責任について書かれています。
今回の改正で、建設業の一人親方の基本的な姿、一人親方と社員の違いや判断の方法が追加されました。
一人親方とは
▼請負った工事を自らの技能と責任で完成させることができる事業主とされています。
▼職長クラス(建設キャリアアップシステムレベル3以上)の能力が望まれています。
▼納税や請負契約の締結など法令を守っていることも望まれています。
疑われる事例
▼年齢が10代の技能者で、一人親方として扱われている
▼経験年数が3年未満の技能者で、一人親方として扱われている
判断を適切にしないと
▼令和6年度以降、時間外労働の上限が規制されると「一人親方(事業主)か、労働者か」の判断はとても重要になり、労働者の長時間労働となってしまうと法令に抵触する可能性があります。
▼偽装請負として法令に違反する恐れもあります。
▼元請等の指導に応じない場合は、現場入場を拒まれる可能性もあります。
適正な社会保険に入ると
▼技能者が適切な社会保障(病気・ケガ・年金など)を受けられるようになります。
▼法定福利費を適正に負担する会社同士の公平な競争環境が期待できます。
どうやって判断したら良いか
▼働き方自己診断チェックリストを活用し、どちらの立場に近い働き方かチェックできます。
▼建設キャリアアップシステムのレベル(レベル3以上)も目安になります。
適正な社会保険への加入は、今や建設業許可の要件になりました。
作業員名簿の作成も義務化となり、作業員ごとの社会保険加入確認も厳格になってきました。
厳密に対策が実施されると、現場が動かなくなってしまうのではないかという懸念を抱きますが、
将来の建設業界の発展のためには必要な対策でもあるのではないかと思っています。
判断に迷うことなどありましたら、専門家をお繋ぎすることもできますので、一度弊所にご相談くださいませ。
働き方自己診断チェックリストはここからダウンロードできます。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001448684.pdf