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2025.08.18   スタッフブログ

公共工事への参加を考える:地域の「小規模工事登録制度」について

公共工事への参加を考える:地域の「小規模工事登録制度」について

「いきなり大規模な公共工事は難しい」
「まずは身近な案件で実績を積みたい」

こうした考えをお持ちの事業者様にとって、「小規模工事登録制度」は受注機会を増やすための一つの選択肢となります。
この制度は、各市町村が地域経済の活性化を目的として運用しており、小規模事業者が公共工事に参加しやすくなるよう設けられています。
今回は、この「小規模工事登録制度」の仕組みや活用方法について解説します。
 

「小規模工事登録制度」とは?

この制度は、主に従業員数が20人以下の事業者を対象としています。市町村内の事業者がこの制度に登録することで、市が発注する比較的小規模で軽易な工事や修繕(例えば、数十万円から百万円単位の案件)について、随意契約の形で見積もりを依頼される機会が生まれます。
大手企業が参入しにくい小規模な案件を地域の事業者に担ってもらうことで、地域内での経済循環を促すことを目的としています。
 

登録のための主な条件

登録の条件は自治体によって異なりますが、一般的には以下の点が共通しています。

  • 事業所の所在地: 登録を希望する市町村内に主たる事業所(または個人の場合は住所)があること。
  • 納税状況: 法人税や住民税などの税金に滞納がないこと。
  • 資格の有無: 通常の「競争入札参加資格」を持っていないこと。

(※この制度は、入札参加資格がない事業者のためのものであるため)

これらの条件はあくまで一例です。登録を検討する際は、希望する自治体のウェブサイトを確認するか、担当窓口に問い合わせ、最新の要件を把握することが重要です。
 

実績作りと活用のポイント

この制度を活用すれば、大規模な建設業許可がなくても対応可能な案件から着手できます。
こうした案件を通じて、公共工事の実績を積み重ねられるだけでなく、行政との仕事の進め方や契約手続きに慣れることができる点も利点と言えるでしょう。将来的に入札案件への参加を考える上でも、有効な経験となります。

【具体例】平塚市の場合

神奈川県平塚市の例を紹介します。

対象工事: 200万円以下の工事(※令和7年6月1日より130万円から引き上げ)
対象事業者:
平塚市内、または隣接する市町(大磯町、二宮町、中井町、秦野市、伊勢原市、厚木市、寒川町、茅ヶ崎市)に事業所を持つ者。
希望する工事業種において、1年以上の業務実績があること。
申請できない方:
・成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ない方
・過去2年間において契約の締結及び履行において不正な行為をした方
・平塚市契約規則第19条第3項に規定する競争入札参加資格者名簿に登録されている方
・申請日の属する月の1日現在においてその業務実績が1年に満たない方
・市税等の滞納がある方
・平塚市暴力団排除条例第2条第2号から第5号に該当する方
・希望業種を履行するために資格等が必要な場合、その資格等を有しない方

 
平塚市の場合、隣接する市町の事業者も対象に含めているのが特徴です。
 

まとめ

「小規模工事登録制度」は、地域に根差す事業者が公共工事に参加するきっかけとなる制度です。
まずは自社の事業所がある市町村や、近隣の自治体のウェブサイトで制度の有無や詳細を確認することから始めてみてはいかがでしょうか。

また、別の方法として、「工事」の入札参加資格ではなく、「物品・委託」の分野で入札参加資格を取得するという戦略もあります。
施設の維持管理や小規模な修繕業務、水道関連の小さな修理などを通じて行政との関わりを持つことも、将来の事業拡大に繋がる可能性があります。

 
神奈川県横浜市の行政書士法人ブリジアスは、建設業に特化した行政書士法人です。
建設業許可に関するお困りごと等がございましたらお気軽にご相談ください。

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